目次
登場人物
:日高十郎
:道子
: 滋賀博之
本編
私の名前は日高十郎。
金と女は全て手に入れてきた。
しかし、私は童貞だ。
早漏のため、
ゴムをつけた瞬間イってしまう。
そう、つまり
ゴムとセックスしているだけなのだ。
今となってはIT会社社長である私、
日高十郎だが、
かつては別の企業に勤めていたことがある。
人員や会社があるフロアなど、
規模だけ見れば
決して大きくはない商社だったが、
社員1人1人が世界各地を
飛び回るような人材だった。
当時の先輩には今でも頭が上がらないし、
仲良くしてもらえるのがありがたい限りだ。
「しかし、
山口県の下関とは……
先輩、何をなさってるんだ?」
駅に降り立ちながら、私は首を傾げた。
かつて勤めていた会社で世話になった
滋賀博之先輩が『店を出したらしい』と、
教えてもらったのが、
今回の旅行のきっかけだ。
教えてくれたのも同じ会社の先輩で、
自分がいけない代わりにと、
開店祝いも預かっている。
滋賀さんは、私が
電話連絡1つもままならない新人の頃に
世話になった方だ。
経理の鬼とまで言われるほどの
正確な仕事ぶりで、
学ぶことは本当に多かった。
「ええと、これがあっちで、
これが……」
慣れない道をあちこち歩いていると、一人の女性がこちらに気づいたらしい。
「どうしましたか?」
「あ、はい。申し訳ない、
こういう店を探してまして」
ふくよかと言うより、
豊満という言葉が似あう
グラマラスな肢体を持つ女性が、
私が手にするスマホの地図を覗き込んだ。
声や仕草からして、
40代前半くらいと思われたが、
そんな感想をあっさりと忘れさせてくれる
艶やかさがあり、ドキリとする。
「あっ!
このお店……実は私、
これから行くところなんですよ!」
「え?」
目を丸くした私に、
女性が面白そうに『ふふっ』と笑う。
「本当ですか!」
「ええ! 滋賀さんって方が
経営してらっしゃるんですよ。
違いますか?」
「そうです!
その滋賀さんに用があって
きたんですよ!」
「良かった!
じゃあ行きましょう」
思いがけない出会いを受け、
女性に案内された先には
一軒の『フグ料理屋』があった。
料理屋とは聞いていたし、
何しろ下関なのだからフグ料理だろうと
予想はしていたが
実際に目にすると驚いてしまう。
「意外ですか?」
女性に問われて、私は頷いた。
「はい。
会社で先輩だった人なんですが……
経理に関しては鬼のように
正確さを求める人で、
とてもじゃないですけど、
料理と印象が
結びつかなかったんですよ」
「へぇ……」
女性が、何故か酷く面白そうに、
一つ頷いた。
まん丸く膨らんだフグの暖簾に
導かれるように店に入ると、
白衣に身を包んだ滋賀さんの姿があった。
「いらっしゃい……って、日高? 道子さんと一緒にどうした」
「お久しぶりです!
開店祝い、遅くなりましたが、
どうぞ」
「ええ、ああ、
こりゃご丁寧にって……そうかぁ、
田中が言ってた開店祝いってこういうことかぁ」
楽しそうに笑った滋賀さんに
先輩から預かった開店祝いを渡して、席につく。
「ありがとうございます、
本当に助かりました」
「いいのよ、
あっ、私いつものメニューで」
「あいよ」
カウンター席の隣にかけた女性が
目配せをして、
滋賀さんが嬉しそうに頷いた。
私はと言うと、もともと田中先輩が
コースを予約してくれてあるため、
それを楽しみに待つだけだ。
滋賀さんは最初の料理が出るまでの間、
どうして『フグ料理屋』を始めたか
説明してくれた。
「会社を辞める5年前に、
この近くの企業との取引が
頻繁になって、
フグを食う機会が増えてな……」
皿の模様が透けて見えるほど
薄く切る包丁遣いを見せつつ、
滋賀さんが言う。
「そのうちに、
それまで疲れ切るのが
当たり前だった体に、
どんどんスタミナが戻ってきたんだよ。
体重と体脂肪も落ちて、
体が軽くなるのを実感してさ……」
「……もしかして、
その理由がフグ?」
思えば私も、全国各地でその土地の産物、
特に精に良いと言われるものを
食べて回るようになって、
少しずつ早漏が治まってきた……ような、
気もする。
「その通り!
フグはタウリンって成分が豊富でな、
白身魚だけど高たんぱくかつ低カロリー。
これをちょくちょく食べていたのが、
俺にとってはプラスだったんだ」
酷く感動した滋賀さんだが、
フグについて調べるうちに
『高価で手が出ない』というイメージが強く
『メジャーだけど庶民的ではない』
事実に気が付いた。
もっと気軽にフグを食べてほしい、
そんな思いを実現させる手段として、
滋賀さんはフグ料理店を
開くことを決意したという。
そのために早期退職を決意し、
さらに料理学校や方々の板場へ
飛び込んで学び、
ついにはフグ調理師の免許も取得した。
「何ていうか……
思い切った行動で、驚いています」
「あはは。そうかもな!」
そう言う滋賀さんは、楽しそうだった。
すると、
「良かったわねぇ」
と、道案内をしてくれた女性が微笑んだ。
「悪いね道子さん、
すっかり蚊帳の外にしちゃって」
「いいんですよ。
滋賀さんの後輩を
道案内できるなんて、
いいことしたわぁ」
「あはは。その通り」
滋賀さん曰く、道子さんは
開店当初からの常連さんだという。
「はい、ふぐ刺しだ」
「是非とも、
山口の柑橘と一緒に食べてね。
葱も最高なのよ」
言われるままにとって口に運ぶと、
ヒラッとした舌触りの後に
歯ごたえと上品な味わいがあって、
それを葱と酸味が引き立てる。
美味い、と思ったのが顔に出たのか、
滋賀さんが嬉しそうに笑った。
「ねぇねぇ、滋賀さんって
どんな先輩だったの」
「おいおい道子さん」
「ふふ、いいでしょ、
聞かせて頂戴な」
嬉しそうに尋ねる道子さんにのせられて、
思わずあれこれと昔話に花を咲かせた。
「ったく。お前は基本的に
なんでも人よりできるが、
詰めの甘いところがあるんだから、
気をつけろよ」
滋賀さんに言われて耳が痛いが、
道子さんは聞き上手で
ついつい話してしまった。
店内には家族で来る人もいれば、
年若い旅行客や
近所の常連らしい人もいるが、
皆がフグを前に
嬉しそうな顔をして食べている。
そんな中での会話はとても楽しく、
私も道子さんに勧められるままに
酒をあおってしまい、
すっかりいい気持になっていた。
とはいえ、酔いつぶれるほどではない。
「うーん、酔っちゃったなぁ。
おかいけーいしてくーださーい」
一方でケラケラと笑う道子さんは、
足元がおぼつかず、
間延びした声は
完全に酔っていると分かるものだ。
「まいったな、そうだ日高。
道子さん、このすぐ近くに
住んでるんだ、送ってやってくれ」
「分かりました」
つい、以前のことを思い出していたせいか、
私は滋賀さんに言われるままに
道子さんを送ることを請け負ってしまった。
肩を貸しながら店を出て、
道子さんが指すままに歩くと、
程なく駅近くのマンションについた。
「おーとろっくなんられろねぇ、
えへへ」
「わわっと……
もうちょっとですから、ね」
仕方なく、彼女を部屋の中まで運び込む。
一人暮らしなのだろうか、
窓際にはショーツが並んで干されており、
生活感がそこはかとなく漂っている。
「んぅん……」
ベッドへ寝かせた道子さんが、
突然私に腕を絡めた。
「えっ!?」
「ねぇ、しがさん」
「……っ」
道子さんの熱に浮いて、
酔った目が私をじっと見つめる。
私はそこで、道子さんが何故
滋賀さんの店の常連となり、
そして私に親し気に
話しかけてきたかを知った。
彼女の心は……滋賀さんにあったのだ。
そして、するするっと手が動いて、
私の頬を挟み込んだ。
逃げることが出来ず、
私はそのまま彼女にされるがままとなる。
「やっと、へやまで、
きてくれたのね」
おそらく……
道子さんは滋賀さんに恋をしている。
そして今、私は、
滋賀さんに勘違いをされている。
もし彼女がこのことを忘れなかったとして、
滋賀さんだと勘違いしたままだったら、
ここでつれなくすると
二人の関係にひびが入るのではないか。
そう思うと、
滋賀さんへの恩義が
私をそこに立ち尽くさせたのだ。
「道子さん……」
「ほら見てぇ、もう、
こんなにぐちょぐちょよ」
たくし上げられた透け感のある
ロングスカートの下から、
股の中央に丸くシミのついたショーツが
現れた。
年相応の肉が付いた太ももに
巻かれたガーターベルトの上に乗った肉が、
いやらしくさえ思えてくる。
「しがさん、ねっ。おねがい……」
うっとりと問いかけられ、
私は思わず道子さんの唇にキスをしていた。
ふぐ刺しの薬味の香りが、ぷうんと漂う。
「んっ、ふぁあ……」
身をよじりながら言う道子さんに、
私はもう自分が
『滋賀さん』と間違えられていることなど
気にもできなくなっていた。
それだけ、彼女の体は魅力的であり、
かつ、色っぽくてたまらなかった。
思わず豊かな乳房をひん剥くように
ブラジャーから出して揉みしだくと、
彼女は喉をのけぞらせて喘いだ。
「ああっ、もうわたし、
触られただけで……!」
ガクガクと震え、彼女が達したのが分かる。
私は攻めの手を緩めず、
さらにショーツの上から
くるくると円を描くように責めた。
「いい、いいの、滋賀さん!
お願い、もうきて!」
悲鳴を上げる彼女に、
居てもたってもいられず、
私はカバンからゴムを取り出した。
装着して、
ショーツを押しのけるように挿入を試みる。
(あっ……)
私も、相当酔っぱらっているらしい。
すでに真っ白く、
ぐちゃぐちゃになったゴムの中。
惨めに縮こまった陰茎が、
ゴムにくるまれている。
(もう、出てた……
気が付かなかった……)
衝撃に呆然としながら顔を上げると、
何やら安らかな寝息が聞こえてくる。
「……あっ」
道子さんに迫られたとはいえ、
完全にレイプしたような状況に、
私は頭を抱えていた。
どうすべきか悩み、
ひとまず苦しくないようにと、
衣服を整える。
後は彼女が、
どこまで状況を覚えているかで
判断するしかない。
「……となると、
ホテルはキャンセルして……」
こうなるとどうしようもなく、
私は道子さんの部屋で
一夜を明かすことになった。
翌朝。
眠れぬ夜を久しぶりに過ごした
私が見守る中、道子さんは目を覚ました。
「……あれ、日高君?
えっ、なんで。えっ?」
「道子さん、昨日の夜のこと、
覚えていますか?」
「よ、夜?
し、滋賀さんのお店で、
酔っぱらっちゃって……あれ?」
どうやら、そこから覚えていないらしい。
「酔っぱらって動けなくなった
道子さんを、滋賀さんに頼まれて
ご自宅までお送りしたんです。
でも、そしたら玄関で
すぐに寝入ってしまわれて……」
「朝まで介抱してくれたの?!」
「ええまあ、成り行きで」
驚いた顔をしていた道子さんだが、
次第に笑顔になり、
そして軽やかに笑いだした。
「あはははは、
やっぱり日高君も人の子ねぇ」
「え?」
「間違えて襲っちゃったのは
私なんだし、素直に言っていいのよぉ」
「え、え!?」
頭が、真っ白になった。
つまりそれは、
道子さんは全部覚えていて、
それでいてとぼけたということだろうか。
「……滋賀さんの後輩って聞いて、
いい思いさせたら、
私もいい思い出来るかなーって、
それだけよ」
「み、道子さん……ええと、
嘘をついて、すいません」
「あらっ。謝ってくれるのね、
ありがとう」
綺麗に笑った彼女は、
すでに一度、夫と別れた身の上だった。
滋賀さんはというと、独身を貫いている。
というのも、
何かと新たな分野に挑戦しがちで、
年収の浮き沈みが激しいから、
という理由らしい。
そんな彼に惚れた道子さんは、
あれこれアプローチをかけるが、
独身が長い滋賀さんは
気が付いてもくれない。
せめてもと、
彼の開いた店に通いつめ、
常連として共に時間を過ごす程度で
終わっているという。
「そしたら、
日高君が来たでしょう?
もっと仲良くなれないかなって、
そう思っちゃったの。でも、
こんなにいい子を
むやみにだましちゃダメね」
残念そうに笑った道子さんに、私は言う。
「滋賀さんは、
道子さんを嫌いではないと思います」
「……そうかな」
「はい。私が知る限り、
帰りを心配するような人がいるなんて、
私が知る限り
はじめてのことですから……」
そう。
いくら店の常連とは言え、
わざわざ送るように頼むなんて、
まずないだろう。
「そう、かしら」
「そうですよ」
「……ありがとう。
ごめんなさいね」
こうして、私の山口県の旅は終わった。
後日、滋賀さんの店へ開店祝いではなく
『ご祝儀』を持っていくことに
なるのだが……それはまた、別の話だ。
私の名前は日高十郎。
金と女は全て手に入れてきた。
しかし、私は童貞だ。
早漏のため、
ゴムをつけた瞬間イってしまう。
そう、つまり
ゴムとセックスしているだけなのだ。
お わ り
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早漏出張vol.1
「浜名湖のうなぎと梓川香苗」
早漏出張vol.2
「耶馬渓のすっぽんと木下林檎」
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「青森のにんにくとマキとマコ」
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「呉の牡蠣とエリス」
早漏出張vol.5
「熊本の馬肉と宮下佐紀」
早漏出張vol.6
「新潟の鮭と花田喜代」
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